ゲームとテクノがスキ!スペシャル対談 後篇
2020年2月16日に行われた企画イベント「ゲームとテクノがスキ!」
ホソイバンドにてリードを務めたバイオリンのMariNaさん、音楽集団ViVi BaBooよりギターの鷹股慎さんとの対談を行いました。
Interviewer:阿嘉彩(ViVi BaBoo)
感性のぶつかり合い
- MaiNa:
- 先ほどの楽譜をどこまで書くかという話にもありましたけれど、iPad(で譜面を見る)派と紙派で求めるものが違うし、どんなバンドかによって、どこまで書くかも違いますよね。曲の終わり方が書いてないのもあります。
でも、最近わかってきたのは、書いてないけど、ここは絶対にキメを作るだろうとか、ジャズのように4分音符で書いてある譜面だけど、そのまま4分音譜の長さで弾かない中で、ここだけは音譜通りの長さだろうとか、初見でもわかってくるっていうことです。 - 慎:
- 正に、阿吽の呼吸なんだろうね。
- 細井:
- そういう感性は大事だよね。「ここだよね」という美味しいと思うポイントがみんなで共有できているとすごくやりやすい。
- MaiNa:
- 書いてある音譜が書かれ過ぎていて弾けないという人もいれば、書かれていなくて弾けないという人もいて、難しいところですよね。
- 細井:
- 僕なんか、ゴリゴリ打ち込みの人じゃないですか。だから全部数値で管理しているけれど、その反動で、バンドでライブをする時には決めごとを極力そぎ落としたいんですよ。
- だから、あんまりここをこうしてくださいねって指示したくない。
- 慎:
- 要所要所のキメとかはありますけどね。
- 細井:
- そうね。今回のバンド譜でも、なるべく書かないようにしようと思って、ほんとに弾かないところは全休符書くんだけれど、ここは良しなにという部分は空欄にするとか。
- MaiNa:
- バイオリン譜には、バリバリ休符書いてありましたよ。でもまぁ、弾いちゃうけどね。みたいな(笑) ここは休符になっているけれど、絶対弾いて欲しいだろうなというところは弾いちゃいました。
- 細井:
- そうそう。そういう感性のぶつかり合いでやりたい。
- 慎:
- 他の現場でもそうですけど、やれるんだったら、とりあえずはやってみています。それで、そこを弾かなくていいという時は、そう言われるし、言われなければ「やっていんだ」って判断するのを自分なりにやっていかないと、と思ってます。自分で出せるものは出していって、最終的に削った方がいい。
- 細井:
- 今回だったら「アメリカステージ」の最初のアルペジオのところ、ちょっと難しすぎるかなと思って、やらなくてもいいですよと思っていたんだけど慎さんが…。
- 慎:
- やりますよ~! ちゃんと書いてあるんだから。すごい”おたまじゃくし”いっぱいあるな~って思いましたけど(笑)
細井 聡司が語るMariNa&鷹股 慎
- 彩:
- さてさて、ここまで色々とお話してきましたけれど、そんなリード楽器のお2人、MariNaさんと慎さんについて、細井さんからの印象をお聞きしたいです。
- 細井:
- MariNaさんはずっとkisekileyというユニットをやり始めた当初から、アドリブが苦手だというお話をされていたんですけれど。そこはあえてスパルタじゃないですけれど、やってもらっています。
- MaiNa:
- 未だにわからない部分もありますけれど、とはいえ最近慣れてきたと思いませんか 笑? たしか、1回40分コースのアドリブ合戦をやって。
- 細井:
- そうそう、「Local Order」という曲のとか、最新作の「Silky Noise」という曲の中でソロをやってもらって。
- MaiNa:
- 「Silky Noise」を作る時は、細井さんがいつもされているエレクトリック流しのような感じで曲作りを生配信したんです。そこで、ここバイオリンソロね~って感じでふられて。弾いてた時はワンテイクでできたんですよ。
- 細井:
- 「Local Order」の時は20テイクくらいしたんだけどね。
- MaiNa:
- 難しかったのもありますよ。コードとか。「Silky Noiseは」それほどコードが多くなかったから。
- 細井:
- 僕が弾けることを前提に作ったからね(笑)
- MaiNa:
- 最近なんか無理をしないということを覚えました(笑) 別に速く弾かなくていいんだなぁって。
- 細井:
- そうそう。伸び伸びやってもらいたいんですよね。あんまりキメキメで、ここはああしろこうしろじゃなくて、その人その人の個性というか感性を引き出したいと思っています。
- 細井:
- 慎さんに関しては、スキルがあってうまいのに…。
- 慎:
- 「のに」ってなんですかぁ~。
- 細井:
- とにかく今回のゲースキでは前に出ろって…。
- 慎:
- はい…。
- 細井:
- それで、出てもらえたから良かった! 良い面が出ていたなと思います!
- 慎:
- ありがとうございます(笑) 僕、前に出た方がいいですか?
- MaiNa:
- ギターは前に出るものだと勝手に思ってましたよ。
- 慎:
- そうでもないと思うよ(笑)
- MaiNa:
- それもわからなくもないです。ギターは、クラシックギターとか、弾き語りの人じゃなければ一人では弾かないですもんね。バイオリンやピアノはメインをやりたい人がいきますけど、そういうのとは違う。
MariNa&鷹股 慎が語る細井 聡司の曲
- 彩:
- 改めて、ここまでお話してみて、細井さんの曲について思いのたけをどうぞ!
- 慎:
- 細井さんの楽曲のバッキングもリードもやらせてもらいましたけれど、やはりバッキングの方が遥かに難しいです。でも、難しいリードをギュワーっと頑張って挑戦するよりは、難しいバッキングを弾く方が好きだし、燃える曲をもらえて楽しかったです。
- 彩:
- 今回は台風で一回流れてしまったけれど、その当日もそのあともずっと「ゲースキ」の曲ばかり沢山練習していたって聞きました。
- 慎:
- そうですよ。多分、今回のホソイバンドメンバーの中で一番俺が練習したんじゃないかと思いますよ(笑) わかんないけど。
- 彩:
- 自分史上の中でも多い練習量でしたか?
- 慎:
- 昔は1日6時間くらい練習していましたよ。不安になっちゃうから。今はそこまでは時間を取れないですけれど。
- 彩:
- 忙しくてそこまで時間は取れない中でも、たくさん練習できたのは…?
- 慎:
- やっぱり弾いていて楽しいからですよ。楽しいと思える曲は練習もしたくなります。
- 彩:
- おぉ~!! そうですよね~!
- 彩:
- MariNaさんはいかがですか。
- MaiNa:
- 元々、細井さんの曲ってバイオリンリスペクトが強すぎて(笑) 音的には裏の役割なんだけど裏じゃないなーみたいな。曲が元々、ボーカルの裏のバイオリンでも、第二メロディみたいな感じなんで、今回、インストになっても違和感はなかったんですけど、他の楽器とガチガチに絡ませてもらったりとか、バッキングをさせてもらったことが新鮮でした。
- 彩:
- ボーカルと絡むのと、楽器と絡むのでは何か感覚の違いはありましたか?
- MaiNa:
- いつも誰と絡むかで相手に合わせるのですけれど、主張を求められている裏メロの場合って、寄り添い過ぎても面白くないじゃないですか。ある程度同等に絡まないと面白くないと思うんですよね。それくらい力強さが求められていると思いました。
- 細井:
- 昔からよくバイオリンの音が大きすぎると怒られてましたし、他のバンドを見てバイオリンの音が出ていないと「なんでバイオリン出てないんだ!」って思っていました(笑)
- MaiNa:
- 細井さんの曲、特にkisekilayでは、みんながメインのような立ち位置で…。
- 細井:
- そうそう。元々、ボーカルとバイオリンを同じバランスにするのがコンセプトだったんで。
- MaiNa:
- そう。それで細井さん作曲の「glow」という曲のエンディングでは、バイオリンがメロディーで歌が裏に回るのがかっこいいんですよね。そういう曲から細井さんとはご一緒していますが、今回のライブはメロディーも裏メロもギターと絡むのも、色んな私のやりたいことをやらせてもらった感じです。
- 彩:
- MariNaさんは、バイオリンの色んな側面を出していくということを大切にされていると感じました。
- MaiNa:
- 実は、これまでバンドサポートで演奏していてフラストレーションがたまることがあって。それは、以前はバラードしか弾かせてもらえなかったことなんです。他の激しい曲も、私からすれば絶対バイオリンが合うと思うのに…。
- 細井:
- 一般的には、バイオリンはゆったりフレーズのイメージがあるんでしょうね。
- MaiNa:
- もちろん、そういう特性、得意分野ではありますよ。でも、今はバイオリンを入れるバンドが流行っているから、激しいバイオリンがかっこいいと思われるようになってきてはいると思います。それでも、ストリングスっぽいラインってわりと決まってきてしまっている部分もあり、裏メロとかうまそう!とか。王道のメロディーは歌がやっていて、ギターのソロはあるけれど、バイオリンのソロはやらせてもらえなかったり。だから、今回のライブは色々できて良かったなと思うんです。
- 慎:
- 自分的には、今回のそういうバランスは良かったなと思います。
- MaiNa:
- そうですね。すごく面白かったと思います。
- 慎:
- 例えば、MariNaさんが弾いてくれているようなことを自分がやっちゃうと、今度はバックの音が薄くなっちゃうし。
- 細井:
- ホソイバンドだけの曲は、ギターが一本だったから、ギターでリードとバッキングを分けられなかったんですよね。
- 慎:
- それもあり、ゲストの池田さんがいらっしゃる時はより良かったと思います。
- MaiNa:
- キーボードがあるからコード感は減らないですけどね。ヘビー感は薄くなってしまったかもしれないけれど。
そもそも、結構昔のゲーム音楽ということは、元々はそんなにパートが多いわけではないですよね。バンドでやってみて、そうとは思えない曲だと感じました。 - 細井:
- あの時は5音しか使えなかったですからね。ユニゾンとかコードとかでごまかせない。コードで3つも使っている場合ではなくて、それだけでリードもベースも裏メロも作らないといけないから。
- MaiNa:
- リズムもいるしね。それでもう4つ使っちゃう。細井さん特有の複雑なテンションコードはやっている場合じゃないんですね。
- 慎:
- メジャーナインまで入れたら1,3,5,7,9で全部使っちゃいますね。11なんてもってのほか。
- 細井:
- そうそう!そうなの! だから、そこで敢えてルートを抜くとかいうテクニックを使っていくんです。
- MaiNa:
- だからCのベースがGになるんですね。
- 細井:
- 浮遊感ってそういうところからきてるのかな。ベースがルートを弾いているんだったら、他の数少ない音がユニゾンしたらもったいないとか。
- 彩:
- そういう意味では、今回アレンジされて違った感覚がありましたか?
- 細井:
- そうですね。日本ステージをアレンジしている時に、どういう感性でこんなコード進行になるのか 笑?と自分で思いました。
- MaiNa:
- 「つきのさかな」とか「音速娘」とか今の細井さんでは絶対やらない感じがしました。
- 慎:
- 当時流行っていたシャッフル系の印象ですね。本田 美奈子さんの「Oneway Generation」とか。
- 細井:
- この2曲は企画もので、キャラクターの真尾まおがアイドルとしてCDリリースするというストーリーで作ったものなんですよね。その時はアレンジャーさんが別にいて、その辺りは自分とは少し違うかもしれないけれど、自分の曲作りとしては、今の片鱗が見えている気がします。まぁ、わかりやすい曲を作ろうというのはハッキリしていました。
- MaiNa:
- いいんですよ。今もわかりやすい曲書いて(笑)
- 一同:
- (笑)
- 細井:
- 王道を行く時間がない(笑)
- 彩:
- ぜひ書いてください!さて、来年のゲースキ! はどんな曲ができるでしょうか。乞うご期待ですね! ありがとうございました!
特別映像
特報!2021年6月26日(土) 「ゲームとテクノがスキ!2」開催が決定しました!場所は前回と同じ小岩ライブシアターオルフェウス!出演バンドや詳細は続報をお待ちください!
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