細井聡司インタビュー

インタビュアー: 阿嘉 彩

-25周年を迎えて、今どんな想いですか?

これまで谷あり溝ありの人生を送ってきたわけですが(笑)やっぱり大事なのは人との縁なのかなと今になって思います。 ホントに古くから…15、6年のお付き合いの人もいますし、新しく、今回の25周年イベントで一緒に演奏するメンバーのように優秀なプレイヤーとのご縁があったりして、いつも人に生かされているという感じがします。

-25周年を迎えての意気込みを教えてください。

ただ単に、過去を振り返るだけにはしたくないとは思っています。この時点で振り返っちゃったら終わりだと思うんですよ。25周年というのは通過点。 現時点の自分が表現できるものを、聴いてくれるみなさんに楽しんでいただきたいと思います。この25年が終わったら次の25年がまた始まるわけです。一歩一歩進んでいって、立ち止まることなく、振り返ることもなく、次の新しい一歩が踏み出せればいいかなと。

-細井さんの「表現」とは何ですか?

「個性の融合」です。例えば、音楽に対する取り組み方というか、ボーカルさんと仕事をするとき、音楽を作っている身としては、楽曲に対して自分の個性を全面に押し出したいという気持ちもあります。でも、何より主役は歌手の方々なので、その人の声がどうすれば一番魅力的に映えるか、その人の魅力を引き出すことができるかということを考えていたんだなという自負はあります。その上で、その中で自分の個性っていうものを足していって、それぞれの個性を融合しながらより良いものを作っていきたいと常に思っています。
それは、ボーカルさんだけではなく、演奏家のみなさんもそう。だから、指示した通りだけをやられるだけってつまらないんですよ。その人の個性ってあるじゃないですか。こういう表現をするっていう。それをぶつけてもらった時に、「そういうやり口があったのか!」と新鮮に感じて、それを活かそうって融合していくのが今一番楽しくて…。

-昔は違ったんでしょうか?

20代の頃ってそういう余裕がなかったんですよ。とにかく完璧主義で、1から10まで自分でやらないと気が済まなくて、ちょっとでも違うことをされると「あ、それは違う。僕の曲じゃないから」って言って拒否していたんです。 今は、幹(自分の作品)がしっかりしているから、いくら枝葉(演奏者の個性)を伸ばしても木が傾かないということがわかりました。自分のアイデンティティの持ち方が年を重ねて変わってきたかなと思います。遊びがどんどん増えてきたから、いろんな人の感性を取り入れて、みんなでより良いものを作っていこうという感覚になることができた。これは、20代では味わえなかったことです。

-細井さんの「個性」は何でしょう?

長所でも短所、いわばコンプレックスでもあるのですが、音楽的な専門教育を受けていないし、楽器の演奏ができない、ということに負い目を感じていたんです。だから、その負い目をいかに覆していくか、もがいてきたところがあります。
それに、僕は歌ものを作るスキルがないと感じています。元々は劇伴、映像のBGMとかの音楽を作るのをメインにしていたんで、歌ものを作るときのやり方が未だによくわかっていない。だから、インスト曲(ボーカルの入っていない楽器のみの曲)を作る方法論で歌ものに転化しているところがあって、その辺のフワフワした歪みみたいなものが個性になっているのかなって気づいたんです。
だから、歌ものをわかっていないこと自体が自分のカラーになっているのかなと思います。個性って割り切れるようになるまでは、大変な年月が流れましたけど(笑)。

-その個性を魅力だと感じられるようになったきっかけは何でしたか?

年齢ですね。この歳になると全部割り切れる。何をやっても、もう自分は自分なんだと吹っ切れたところはあります。以前、自分の個性を出すのにもがいていた時期があったんです。「個性ってなんだろう」って気づけなくて。
でも、「結局何を作っても細井さんの曲だよね」って言われたことがあって、「そうんなんだ」って…。僕の中で大きな励みになりました。
自分の中では、すごく弱気になってクライアントさんの言いなりになって作った作品がありました。俺っぽくないよねと思いながらも、ある人に聴いてもらったんですけど、「いや、どう聞いても細井さんの曲ですよ」と言ってもらって、「あぁ、何をやっても出るんだな」と。個性って、無理矢理ひねり出すものでもないんだなって気づきました。
若い時って、自分がまだ確立していないんで、どうやって個性を出すか悩むじゃないですか。でも、悩んでいる時点で自分じゃない。それに気づけるのに10年、15年かかると思うんですよ。そこは達観できないですよね。若い時は。やっとこの歳で全部俺なんだなと思えるようになりました。

-これからの25年はどうしていきたいですか?

僕の個性は新しいチャレンジをすることだと思っているので、とにかく今までのイメージを踏み壊していきたいですね。

-これからは、また新しい細井さんに出会えるのですね!最後に一言お願いします。

はい。そんなわけで、5月27日の25周年ライブを楽しみに聴きに来ていただけたらと思います。

-ありがとうございました。